AIプロダクト「aiba」を活用するラクエドラゴンホースパークをインタビュー
2023年11月にリリースした馬の異状をリアルタイムに検知するAIプロダクト「aiba」のインタビュー第2段。今回はaibaを実際に導入している滋賀県大津市のラクエドラゴンホースパークの楠本さんにお話を伺いました。
ラクエドラゴンホースパークは2022年にオープンした近畿地方で最大級の乗馬クラブです。約80頭の馬を飼育していて、乗用馬だけでなく競走馬の育成も行っています。 初心者から選手を目指す方まで幅広い層の方が訪れます。また、引退競走馬のリトレーニングも行っています。
代表の岩谷はオリンピックに3回出場した経歴を持ち、指導員の多くが国体や全日本大会へ出場した経験があります。指導員はそれぞれ担当馬をもって日々の管理や会員の皆さまの指導、その他の業務を担っています。
一般的な乗馬クラブと異なり、ラクエドラゴンホースパークは夜間の宿直を置いていません。従業員のワークライフバランスに配慮しつつ、夜間も馬が安全に過ごせるような環境づくりのためにaibaの導入が決まりました。
宿直で夜通し馬の様子を確認していたとしても、異状を見つけたら各スタッフへ連絡を入れるところから対応が始まります。aibaなら異状検知の段階で、自動で全員に連絡が届き、誰が駆け付けられるか決めることができます。ドライブレコーダーのように異常行動の前後は録画保存されているので、離れていても馬の様子を動画で確認できます。そのため、到着後は無駄なく迅速な対応ができます。通常は「宿直が無い」というのは考えられないですが、aibaがあれば安心です。
馬は疝痛になりやすく、重度になると死亡のリスクもあります。学生時代に疝痛が悪化してしまい、死亡してしまったケースを経験しているので、疝痛の早期発見がいかに大切かを痛感しています。aibaは素早く馬の異状を検知してくれるのでありがたいです。
aibaを導入してから今まで疝痛を見逃したことはありません。「異状を検知したが疝痛ではなかった」というケースはありましたが、むしろそのくらい”心配性”な方が助かると感じています。アラームが鳴ったら異状を検知した前後の様子を動画で確認します。どの程度の動きでアラームが鳴るかはパラメータ調整ができるので、頻繁に動く馬は調整を入れるなど馬の個体差にも対応できます。
馬着が破れてひっかかり、馬が暴れてしまったケースをaibaが検知したこともありました。その日は休馬日でしたが、アラームに気づいて近くにいた自分が駆け付け、すぐに落ち着かせることができたので大事には至りませんでした。
他にも給水用のウォーターカップが壊れてしまった時もアラームが鳴ってすばやく対応できたので助かりました。また嵐の日には突風により馬具などが舞い上がり、馬房の中に引き込んでしまっていたというケースを検知できました。道具の動き自体はAIで感知できませんが、道具をイタズラするという通常と違う馬の動きを検知して発見に繋がったんです。
他のスタッフからも「怪我を防げるだけでなく、馬のさまざまなことを把握できるのが嬉しい」と聞いています。大人しいと思っていた馬が夜はとても動き回っていたり、外では活発だった馬が厩舎の中だと大人しくなっていたり......普段接するだけだとわからないような馬の性格がよりわかるようになりました。
試合の前で常に馬の様子が心配な時にも、aibaによって遠隔で様子を確認できます。aibaは「アラームが鳴ったら確認する」だけでなく「いつでも様子を確認できる」のが魅力です。
例えば餌を食べていない馬がいた時に、本当はずっと様子を見ていたいけど他の業務もあるのでそういうわけにもいかないですよね。そんな時には離れていてもカメラでいつでも様子を確認できます。これはAIとは関係がない機能ですが、こういったメリットも嬉しいポイントです。
このように、夜間のトラブル発見のためだけでなく、日中も限られた人手の中でより必要な業務に集中し、それでいて離れていても馬の様子を確認するためにaibaを活用しています。
導入を決めてから設置が完了するまでは約2ヶ月ほどです。現在は特に注意が必要な馬に限定して設置していますが、この様子を見て新バージョンがリリースされたタイミングで導入拡大を検討しています。
全日本学生賞典馬場優勝、杭州アジア大会総合馬術団体で銀メダル獲得など。現在は オリンピック金メダル獲得を目指し、日々トレーニングをしている。
ラクエドラゴンホースパーク
広大な敷地と乗馬、フィットネススタジオ・サウナ・カフェ/BBQ スペースが併設した総合施設
https://lac-dragon.com
aiba 公式ホームページ
https://aiba.solution.apprhythm.ai/
取材・文 馬旅編集部
※この記事は当団体が発行するフリーマガジン「馬旅2024夏号」の一部です。
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